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すぐそばにあって
いつも一緒にいること
それはあたしたちにとって『当たり前』だった。
大気に溶ける銀狼
佐伯虎次郎と、あたしは自他共に認める大親友です。
親友のもヤキモチを妬いてしまう(本人談)くらい、あたしとサエは気が合うし、よく話をする。
一年・二年と一緒の部活で支えあってきた。
まぁ、あたしはマネージャーだけど。
二年の時は委員会も一緒で、あたしが委員長、サエが副委員長。
校外での活動も多くて一緒に色々頑張ったからかな。
妙な信頼関係が芽生えたのもその頃から。
もともと人に弱音を吐けないあたしにとっては、数少ない相談相手となった。
異様に仲良しなあたしたちに、他校の子は恋人同士とか思ってたみたいだけど、違う。
『お前と俺の仲じゃん?』
そんな感じ。
サエがそう言えばあたしも、そうだよね、そう思うって言って笑う。
ホント大親友なの。
お互いの人生論とかも語り合うし、理想の相手とか結婚についても話したことがある。
あたしが王子様至上主義だって言ったらサエは爆笑した。
じゃあサエはって言うとお見合い派とか言うし。
なんでよって聞いたら、幸せにしなくちゃって責任感で一生愛してけそうとかワケわかんないこと言った。
どこまで本気なんだか。
でもそんなところも全部ひっくるめて認め合える仲。
それがあたしたちの関係だ。
「なんかさー、お前らってすげー夫婦っぽいよな、熟年の。」
「は?何バカなこと言ってんの、バネ。つーかバカでしょ、バーカ。」
「さん突っ込みイタイです。」
「だってあたしまだ14なんですけど!14!四捨五入して10!!」
「してどうすんだよ。」
「それを捕まえて熟年とは何よ!」
「イヤ、熟年夫婦だって」
「まだあたしは未婚よ!名誉キソンで訴えてやるー!!」
「ワケわかんないし。だからアレだって、お前とサエってさ、夫婦漫才ぽいっての。」
……それをバネに言われるってどうなの?
なんか複雑な気分。
あんたとダビデの方がよっぽど夫婦漫才だわ。
「なぁ、お前らって何で付き合わねーの?」
「はぁ?」
「どうしてそんな気が合ってんのに友達のままなんだって聞いてんだよ。二人とも今いねーんだろ?そういうヤツ。」
「いないけど…あたしたちはそんなんじゃないって知ってんでしょ。仲が良いからすぐ恋人にしようなんて短慮にも程があるよ春風くん。」
「なぁーに大声で騒いでんの?もバネも。」
ジャージのポケットに手を突っ込んだまま、ぶらぶらとサエがやって来た。
「サエ!あのさー…」
「サエ!あたしたち親友よね!」
「うん?おう、もちろん。」
「ホラ見ろ!バネ!あたしたちの友情に釘を刺さないで!」
「それを言うなら水だね、」
「ふーん?まぁいいや。サエ、打ち合いしねー?」
「いいぜ。、タオル頼むな。」
「おう!」
サエが放ったタオルをキャッチして、あたしも仕事にとりかかる。
今日は天気が良くてすごく気分がいい。
気持ちのいい風が吹いてきて、がぜんやる気が出てきた。
「〜!おっはよー!」
能天気な声があたしの後方から飛んできた。
「!早いね!どうしたの?」
「うっふふ〜聞いてよチャン。あたし昨日木村くんにノート貸しちゃったんだ〜♪」
「へぇ!何、隣の席だったの?」
「そう!でね、昨日木村くんちょっと遅れて来たからさ〜!もう頑張っちゃったー。」
は今、塾のクラスメイトにお熱。
木村くんっていう県内の有名私立校の生徒らしい。
会ったことないけど、超絶面食いののお眼鏡に適ったんだから相当の美形なんだろうな、うん。
「良かったじゃん。それで?あたしに自慢しに早々とお出ましなわけ?」
「そっ!あ〜!あたし今日あたり頑張ってアピッてこよっかなー!」
「いいんじゃない?わざわざにノート借りるんだから脈アリかもよ?他に男の子いるんでしょ?クラスに。」
「そう!そうなのよ!やっぱそう思う?よっしゃ!やる気出てきた!あたし頑張るよッ!」
そう言ってガッツポーズ。
…なんつーかホントって恋愛にポジティブだよな。
道歩いてすれ違った人とかもしっかり見てて、「今の人カッコよくない!?」とか聞いてくるし。
あたしにしてみりゃどこ見て歩いてんだよって感じなんだけど。
でもそんなところも憎めなくて可愛いんだよね。
「ところでと佐伯くんは?どうなの?」
「どうなのって…何が?」
「まだくっついてないのー?いいかげん付き合えばいいじゃーん!」
「はぁー?もう何でまでそういうこと言うかなぁ」
「なんて言うか、ちゃーん!サエー!っていう世界が出来てるんだよね、二人って。」
どんな世界ですか。
「バカ言ってないで教室行けばー?もぉー。」
「えー?何で何でー?お似合いだよ、二人って!」
「あたしたちはお互いの良き理解者なのよ。」
「別にそれが彼氏だっていいじゃない?」
「ちっちっち、甘いねくん。よく考えてみてよ。サエが彼氏になったらあたしは彼氏に対するグチをどこへ持っていけばいいわけ?困るでしょ?」
そうよ、だからサエが彼氏になるだなんてあり得ない。
あたしの悩みをグチを心おきなく話せるのはサエだけなんだから。
「じゃーね、。あたし部活。また教室でねー。」
「ちょっとー!」
なおも噛み付くにあたしは手をひらひらと振って、コートに戻った。
と、剣太郎が待ちかねていたように近づく。
「さん、ダメですよ、練習途中で抜けちゃ。」
「球拾いよ」
サラリとうそぶくあたしに剣太郎が困ったように眉をひそめる。
真面目くんなんだからなー、もう。
ハゲるの早いよ。
「何の話してたんです?」
「女の子の話に立ち入る気?」
「サエさんの名前が聞こえたので。テニス部に関わることなら聞いておきたいですけど?」
「まぁ別にいいけど。大したことじゃないし。いつものことだし。あのね、がサエと付き合えばーって言ったのよ。」
「サエさんとさんが?」
「そう、あり得ないでしょー?あたしたちが仲いいからって皆そう言うんだよ。おかしいよねー!」
「そうですよ。そんなの俺が許しませんよー。」
「えっ?」
チクリ
「どんなに仲良くても恋人同士っていう雰囲気じゃない人たちっていますもんね。サエさんとさんは一生親友同士っていうのが一番だって、俺もわかりますよ!」
チクリ
「う…うん。そう、やっぱ剣太郎もそう思うよね?」
「はい!わかってますよ!さん、他の人の言う事なんて気にしなくても大丈夫です!」
チクリ
「ありがと…。じゃ、ボール拾ってくるね。」
笑顔の剣太郎に手を振って走り出す。
最後の方は笑えなかった。
何でだろう、自分で言ったことなのに。
『俺が許しませんよー』
初めて言われた否定の言葉に、少なからずあたしは動揺していた。
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2003.10.01
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