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水曜日、15:20。
色あせた毎日が総天然色になる瞬間。
ガラスいちまい <前編>
「これ、返却お願いします。」
大きな手が私に本を差し出す。
不覚にも心臓がフル回転しはじめて体温は3℃くらい上がりそうになる。
顔を…上げられない。
うつむきがちに本を受け取る。
「学年、クラス、名前をお願いします。」
必死に『図書委員マニュアル』どおりに進める。
平静を装いたかった。
眼鏡を指で押し上げる。
緊張したときの私のクセ。
「2年A組、鳳長太郎です。」
聞かなくてもわかってる。
手は彼が口を開くのと同時に "そこ"へ動く。
でも。
少しでも声を聞いていたいから、知らないフリ。
こんな私は卑怯だろうか?
ぺたん。
青の "済"のスタンプをカードに押す。
ゆっくり。
ゆっくり。
できるだけこの時を延ばしたい。
「じゃあ、本を元の場所へ戻してください。」
「はい。」
少し骨ばった大きな手が私から本を受け取る。
かすかに、指がふれた。
指先に電流が走って心臓が跳ね上がる。
泣きそうだ。
でも彼は何もなかったように背を向けて本棚へ向かう。
私は鳳くんが遠ざかると、知らず止めていた息を細く、深く吐き出した。
広い氷帝学園の図書室は大勢の生徒が利用する。
マンモス校だから、いちいち名前なんて覚えていられない。
…でも彼は特別だった。
貸し出し期間は2週間ある。
けれど必ず1週間で本を読み終えて、毎週水曜のこの時間にやってくる。
礼儀正しくて背が高くて。
字がとても綺麗な、ひとつ年下の男の子。
テニス部だと耳にしたけれど、うちの学年のテニス部員とは全然違う。
人懐こい笑顔にドキドキして。
気づいたら水曜日を指折り数えて待つ私がいた。
同じ学年の子の顔だって全員はわからない氷帝で、部活も委員会も学年さえも違う彼との接点はココだけだから。
他の委員の子が全然来ないとか、忙しすぎて勉強してるヒマがないとか、司書さんも遅刻ぎみだとか、そんなコトはとても小さいことのように思えた。
ふぁ…。
今日は比較的ヒマだなぁ〜。
生徒はあいかわらず多いけど、貸し出しの子は少ない。
ぐぐぐっと大きく伸びをして眼鏡をはずすと、首をコキコキする。
そうだ、ジロちゃんから貸してもらった本でも見ようかな。
クラスメイトでなぜか仲良しのジロちゃん。
眼鏡が嫌いだと言った私に、「目がよくなるよ〜」って、マジック・アイの本を貸してくれた。
いつもボーっとしてるくせに、結構気のつく優しい人なんだよね。
それにこの本、眼鏡がないほうがよく見える。
まさに一石二鳥かな。
あっ、カンガルーがキックボクシング。(笑)
こっちはバレリーナが浮かび上がってダンスしてる。かわいいなぁvv
このお花畑は何かなぁ…?
ああ!牛!牛だぁ!!ぷぷっ、しっぽ短すぎだよ〜!(笑)
「すみません、あの……貸し出し…いいですか?」
「ええッ!?はっはい!ごめんなさい!!」
私が本に夢中になっているうちに来たらしい人が遠慮がちに声をかけた。
あわてて本を置いて眼鏡をかけて見上げると、そこにいたのは鳳君。
うげっ!!
「…だいぶ…待ちましたか…?」
「いえ…あの…少し…」
私のドアホ〜!!
鳳くん待たせて何やってるの!!
さっさと気付け〜!スットコドッコイ!!
しかも本読んでニヤけてるの見られた!!
あ…穴があったら飛び込んでマグマまで沈んでいきたい……////
「すみません…。じゃ、学年・クラス・名前を…。」
と、鳳くんは苦笑して、
「2年A組 鳳長太郎です。」
そう言うとカードを二枚出した。
ガーン…笑われた…。
どんどん自分の顔が赤くなって、体温が上昇するのがわかる。
このままじゃただのバカ女だと思われる!!
「返却日は二週間後です。」
思いきって顔を上げた。
たまには笑顔でそう言ってみたかった。
鳳くんの中に少しでもいい印象で残るように…
あれ…?
鳳くんの顔が白くかすんで見える……?
…もしかしなくても…眼鏡…
曇って…る…?
「ありがとうございます。」
鳳くんが少し笑っていて
本を受け取る手が少し震えてる。
今度こそ本当に泣きたくなった。
これ以上バカ見せられない。
いたたまれなくなって、思わず図書室を飛び出してしまった。
途中で司書さんとすれ違って。
何か適当に言い訳をしてそのまま帰った。
恥ずかしくて。
みじめで。
カッコ悪い。
こんな自分が大嫌いだ――――――
…next
【反省と言うよりむしろ言い訳】
私も嫌いだー!!(爆)
あわわ…;とうとうやってしまいました。
ドリーム小説をHPに載せる日が来ようとは!私が一番ビックリです。
だってブームなんですよ!奥さん!(誰に言ってる)
そんな訳で、初めは氷帝の敬語キャラ、チョタですvv
しかしこのページ名前変換がない…;
こんなのドリームじゃない;;;
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