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午前零時を過ぎたら、一番に届けよう。
Special Day
「ラスティ見なかったか?」
「いいえ。15:00頃に会ったきりです。…僕も探してるんですけど。」
通路を並んで歩きながら、ニコルが溜息混じりにそう言った。
俺もニコルも、やたら早歩きでラスティの部屋に向かって歩いていく。
気が急くのは時間がないせいだ。
ちらりと時計を盗み見る。
23:30。間に合うか…?
「いや、帰ってきてないんだ。」
アスランが困り顔で出てくる。
三人に増えたラスティ捜索隊は、イザークとディアッカの部屋へと向かう。
はっきり言って望み薄だ。
何せ俺のところに来た時すでにイザークたちに邪険に扱われた後だったから。
でも、なんと言ったって幼馴染。
最後に泣きつく所かもしれない。
…それも腹立たしくはあるけれど。
「いや。あれからは来てない。」
「やっぱさー、いくら顔を合わせると口が滑りそうだからって、あんな風に追い返したのはまずかったんじゃないのー?」
「じゃあどうしろっていうんだ!だいたい貴様だって開けなかっただろうが!!」
「イザーク、ディアッカ、喧嘩はよしてくださいよ!」
「しかし参ったな。後は…どこだろう。オロールやマシューんとこは?」
「いや。あいつらはずっと食堂の方にいただろ。」
「部屋に行っても入れないか。…他にラスティが行きそうな所なんて…」
「ミゲルにも捨てられた後、ですよね。」
「人聞きの悪いこと言うな。」
「アイツが最後に行きそうな、ところねぇ…」
「泣きつきそうな所だよな…」
「…それって…?」
…まさか…!?
全員の頭に、一人、絶対そうであって欲しくない人間の姿が浮かんだ。
「おや、こんな時間にどうかしたかね?」
ドアの前で散々誰が説明するかの押し付け合いがひととおりあって。
「先輩だから」とか言う相当理不尽な理由で、俺が先頭に立って今隊長と対峙している。
すでに時計は23:45。
隊員が隊長の部屋を訪ねるにはいささか失礼に過ぎる時間帯に入っていた。
マスクの下の窺い知れない表情に半分戦きつつ、出来るだけ平静を保って敬礼した。
後ろも多分同じだろう。
……振り返る余裕なんてないけどな。
「遅くに申し訳ありません、隊長。あの、ラスティ・マッケンジーがこちらに来ていないでしょうか。」
「君たちに相当苛められたそうじゃないか。可哀想にそこで寝ているがね。」
うっわー……
「……申し訳ありません。すぐに引き取らせていただきます…。」
失礼します、と断って、全員で隊長の部屋に入って、絶句した。
イザークとディアッカの足が、ズリッと後ろに退いたのがわかる。
床にコロンと横になって、隊長が掛けてくれたらしいブランケットの端を握りしめて眠るラスティ。
可愛い。すごく可愛い。だけど
髪が三つ編み……!!
全員で顔を見合わせて、窺い合うような視線を交わしあう。
…やめようぜ。俺らみんな同罪なんだから。
そう目配せして、ラスティに歩み寄る。
ラスティの反応なんて手に取るようにわかるけど、俺がこの役を譲るわけにはいかない。
ゆっくり、ラスティの肩を揺すった。
「ラスティ、ラスティ。起きろ、帰るぞ。」
まぶたが一瞬震えて、ゆっくり持ち上がる。
ぼやけた視界が俺に焦点を結んだ瞬間、空色の瞳が大きく開かれて、
尻尾髪が飛んできた。
「うおっ!」
「何でココにいるんだよ!ミゲルもアスランもニコルもイザークもディアッカも!みんな忙しいんだろ!!僕はココで隊長とおやつ食べてたんだから邪魔するな!!帰れ帰れー!!うわぁっ!!」
「どうも夜分にお邪魔しました。失礼します!」
ぎゃんぎゃん泣き喚くラスティを抱えて、隊長に全員で最敬礼すると、逃げるように通路に出た。
俵担ぎしたラスティが顔を振るたびに、イザークとかディアッカとかの腕やら頭やらにバシバシ尻尾髪があたる。
でも今日ばかりは二人とも文句言わずに甘んじて受けてる。
「下ろせー下ろせー!!うわぁぁん!!」
「ラスティ、悪かった。ホントに悪かった。だから頼む、食堂まで来てくれよ。」
「食堂…?」
時計を見る。
23:58
ギリギリだ。
全員で通路を走って食堂に駆け込む。
23:59
真っ暗な食堂の扉を開けて、ラスティを下ろした。
何が起きるかわからない様子のラスティはすっかり大人しくなって、キョロキョロ見回してる。
「5」
ナイショにしててゴメンな
「4」
お前の驚く顔が見たかったんだよ
「3」
俺たちみんな不器用だから、うまく行かなかったけど
「2」
きっとお前が喜んでくれると信じてるから
「1」
さあ、目を開けて
「「「「0」」」」
パンパンパン!!
一気に食堂が明るくなって、クラッカーの弾ける音が鳴り響く。
ラスティがびっくりしたように体を震わせて、部屋の中を見回す。
食堂いっぱいに人が集まって、きれいに部屋が飾られて
ラスティの真正面に、花に飾られた大きな幕
Happy birthday Lusty!!
「うっそぉ…」
「ラスティ、誕生日おめでとう!」
「おめでとうございます!」
「昼間は悪かったな。」
「おめでとよ。」
口々にラスティに降り注がれるおめでとうのシャワー。
抱えきれないほどのプレゼントをもらって、今にも泣きそうな顔をして
ラスティが大きな瞳を見開いて、俺のほうを向く。
その瞳に最大級の笑顔で返して、ラスティに向かって大きく腕を差し出した。
おめでとう!!
【反省と言うよりむしろ言い訳】
ラスティのお誕生日!!でした!
おめでとう〜!!
2004.05.31
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