細く開いた図書室のドアの隙間から、廊下に滑り出した光。
誘われるように足を向けて、何の気なしに覗くと
人の群れの中から、聞き慣れたメゾ・ソプラノが耳に届いた。


「ホントに!『I was born』すごくいいですよ。お勧めです!!」


いつも図書室で見かける知的そうなあのひと。
華奢なフレームの奥の瞳がキラキラ光って、一気に柔らかな表情に縁どられた。
はじめて、誰かをきれいだと思った瞬間。


恋をする瞬間なんて、きっと理屈じゃない。
誰がわからなくてもいい、俺だけが、そしてあの人が知ってさえくれれば…


この思いは誰にも咎めさせない。


水曜、15:20
あの笑顔に、会いたい。



01. From : 『ガラスいちまい』